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『日本人の底力』を聞いて 客人:東京大学総合博物館教授 遠藤秀紀さん

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 本日の客人は、『ニワトリ 愛を独り占めにした鳥 (光文社新書)』を書かれた東京大学総合博物館教授の遠藤秀紀さんでした。

 菅原さんが有機農法で使う鶏糞をもらいに鶏舎に行った時驚いたのは、60万の鶏が鶏舎にいて、ベルトコンベアで運ばれるえさを食べている姿でした。大量の鶏を飼う、大量の豚を飼う、大量の牛を飼う、その一方でコンピュータ社会。これはいいことではないのでは?と疑問を感じたそうです。
 
 我々はあまりにも豊かな先進国で育ってきました。農産物にも市場原理が働き、そういう技術のうえで生活がなりたっているので、これを否定することはできないません。しかし、人間には理性があるので、それで良いのかと考えることは必要です。資本主義では、必ず合理的な飼い方をしますが、反面そんな合理化した社会で生きなくてはならなのか、と考えることが必要です。若い人には、いろんな動植物との付き合い方があることを理解してほしい。
 
 今の日本では雄鶏の声を聞くことがなくなったが、肉をとる鶏は50日で交代するからですもっと長生きするし50日以降も成長するのですが、50日以降は大きくなるがペースが落ちるため、殺されてしまうのです。
 
 菅原さんは、今の子供は昔の風景をしらないが、フランケンシュタインみたいになってしまわないか、と心配をしていました。
 
 現代の技術の進歩があまりにも早すぎます。子供がコンピュータに向い、一人になって行くのです。フランケンシュタインみたいに形が変わるわけではないが、感受性が変わるのではないだろうか。美しいと思うか、悔しいと思うか、特に幼少期のいろいろなものをみなければいけない時期にそれをみれないことが影響するように思います。ただ安心してほしいのは、そういう子供たちは、大きくなった時に人や文化と触れ合うことを欲するようになるからです。自分たちもテレビ世代でしたが、大丈夫でした。また、社会全体でこれを是正しようとする動きに期待したいと思います。
 
 菅原さんは、なぜ農業を始めたのでしょうか?
 
 都会に住んでいることを、まるで鶏舎にいるみたいだと感じたからです。自分の生活がブロイラーみたいで、食べ物もベルトコンベアで運ばれてくる感じです。小さいながらも農場を持ち、裏山や小川の牧歌的な風景に住むということが人間的な生活なのではないか、と思ったからです。
 
 鶏は、人間のまわりにいる動物の中で数が一番多いのです。日本にいる鶏は3億5千万羽、世界中には120億羽もいます。次に多いのは家畜では豚です日本には3000万頭います。鶏を飼い始めたのは8000年前石器時代で、場所はタイ、ベトナム、ラオスのあたりでした。その後、中国に取り込まれて世界各地に溶け込んでいったのです。日本には弥生時代に入ってきました。壱岐の島のカラカミ遺跡から日本で一番古い鶏の骨が見つかっています。
 
 鶏は他の家畜とは異なり飼うこと自体が楽しい動物なのです。昔から声を競う、姿を競うといった楽しみ方がありました。尾長鶏は、しっぽの長さが10mくらいになるものもあります。人間が作った鶏です。シャモはギャンブル用の鶏です。牛を飼うのとは違うのです。
 
 菅原さんは、腑わけで何を掴もうとするのか、と疑問を持っていました。
 
 医学へ応用して病気を治すという目的もあるが、博物学の場合は、進化の歴史を自分の目で体からつきとめたいという目的があります。歴史学の書物をひもとくのと同じように、解剖して歴史をつきとめるのです。たとえばさるから進化した人間の特徴は頭がい骨にあります。さると人間は際立って大きな頭がい骨を持っています。動物としては失敗作でしょう。










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