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『日本人の底力』を聞いて 客人:作家 佐藤勝さん

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 元外務省主任分析官で現在作家の佐藤勝さんとのトークでした。

 佐藤さんは沖縄県の出身ということで、辺野古問題に関する話でした。
 
 鳩山政権の沖縄基地移転に関する失敗は、沖縄のマグマを理解できなかったことが誤算だった。鳩山政権には2つの顔があった。国民から圧倒的な信任を受けた社会を代表する鳩山と、官僚を代表する鳩山である。そらが、官僚を代表する形で決着することになった。5月決着としたのは、1月に名護市の市長選挙があり、11月に沖縄知事選挙があるので、その中間で方針を決めようとしたものである。積極的に県外へ移設して、米軍がいなくなったかわりに自主国防体制を強化する方法もあったが、その方向には進まなかった。

 辺野古への基地移転は実現しないとみている。日米合意には、環境評価がないと基地は実現できないと書かれている。日米合意にある”著しく遅滞なく”は遅れても構わないということであり、沖縄の県民が受け入れる気持ちにならなければ、実現できないのではないだろうか。アメリカは今のままでも構わないので、全く急いでいない。沖縄県民の敵意に基地が囲まれてしまうことの方が問題のはずである。鳩山政権がおそれたのは官僚のサボタージュであり、今回の騒ぎで政権が代わっても官僚が決めたことにしたがわなければならない、ということが示された。国家の主人は官僚であることをみせつけるためのシンボルとしての闘争となってしまった。

 沖縄人は境界線上の日本人である。他県民よりも日本人であるということを考えさせられる環境にある。

 鳩山氏は世界的な決断理論の専門家である。しかし、マルコフ理論が専門であり、、過去は問わず直前の事象によって決定するという微分法的な考え方である。そのため、沖縄の歴史を考えなかった。昔の思いからつながっているのは積分法的な考え方である。鳩山氏は歴史に関心をもたなかったため失敗した。

 朱里に年貢を持ってくる船が漂流し台湾へ漂着し、乗組員が殺されてしまうという事件があり、日本は台湾に軍隊を送った。そのときに、琉球王国の安全保障は日本がするということで中国と話を始めたが、沖縄本島までが日本、それより南の宮古島などは中国、という国境を提案している。これは実現せず、その後日清戦争がおきて、いまの領土範囲となったが、琉球王国を分断するような話を日本から切り出しているのである。

 大正時代には飢饉あり、ソテツ地獄と言われている。ソテツの根っこにはでんぷんがあり食べられるが、猛毒もあるのでたくさんの人が亡くなった。しかし、東京は助けてくれなかった。

 第二次世界大戦には、多くの犠牲を払ったのに報われていないという思いもある。歴史的な経緯から、構造的な差別を感じているのである。他県民が同胞と思っているのか、という思いである。







 沖縄の歴史については、私はこの放送で初めて知ったことが多かったです。こういった歴史があり、これを小さい頃から学んでいれば、今のような盛り上がり方をするのは納得できるように思います。これが、”マグマ”というものなんですね。来週も続きがあり、今度は日本の未来に関する話になるようです。楽しみです。









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