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『日本人の底力』を聞いて 客人:日本医師会会長 原中勝征さん(続き)

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 今年4月に新しく日本医師会の会長になられた原中勝征さんとのトークでした。先週からの続きです。

 菅原さんは、4年前に癌をわずらったときに、温存療法の大家である筑波大学の赤座先生にお世話になり、全摘せずに完治したそうです。その先生が今年筑波大学を退職することになり、どうして日本にい何人もいない貴重な先生が退職となるのか?、お医者さんですら定年制にしばられているのか?、と疑問に思っていました。

 実は、公務員には定年はなく、退職の時期は大学で決めている。新しい人を育てるのには定年制は良いが、画一的に実施するのではなく、すぐれた先生が腰が曲がっても残れような医療システムがいいのではないか、というのがお二方のご意見でした。

 医療が崩壊していると言わる中、日本医師会として国民目線の医療を実現するために、まず国民との対話が必要と考えている。国民がなにを望むか、そして国民の義務はなにかを明らかにする必要がある。

 診察料がタクシーより安い国は日本以外にない。盲腸手術はNYでは約240万円、しかも入院は一日だけ。日本では1週間入院して36万7千円で済む。イギリスでは、医療費削減を進めた結果、胃がんが発覚してから手術できるまで3年待ちの状況である。

 日本はいつでもどこでも見てもらえるのに、満足度が15%しかないという調査結果がある。どんなに恵まれているかを国民がわかっていないのが現状である。

 現在は、一人の高齢者を2.3人の若い世代で支えているが、将来は一人で一人の高齢者を支える時代がくる。自分の子供の面倒も見ながら高齢者を支えることができるのか、現在の恵まれた国民皆保険制度を宝物と考え、これを守って行こうと大事にしてゆく気持ちを持つことは大切なことである。

 病気にかかる前に予防するためにワクチンというものがある。感染症によって起こる癌もある。胃がんはピロリ菌によって起きる。子宮頸癌も肝臓がんもウィルスが原因である。これからは、医療費を削減するために予防医学に力を入れるべきである。しかし、現在個人負担であるワクチンが多いため、お金がない人はワクチンを打てない状況である。これをなんとかしてゆく必要がある。

 小児科医、産婦人科医が減っているという問題がある。

 産婦人科医については、福島県で医者が患者の目の前で手錠をかけられて逮捕された事件があり、これをきっかけに急速に減った。学生から産婦人科へ進む人が減り、厚生労働省の指示で看護師が助産の仕事ができなくなったことから、年をとった先生が廃業してしまった。ただし、出産という仕事にやりがいを感じる医者も多く、最近産婦人科へ進む人は戻っており、数年後には回復しそうである。

 小児科については、女医の中から小児科に進む人が多かったが、自身の出産等で離職する人が多かったことが原因である。これも、数年後には回復しそうである。

 後期高齢者医療制度は、癌等になったときに治療を受けなくても良いという誓約書を書けば2000円の補助金がでる、という信じられないい制度であった。日本医師会としては、この制度に反対し、若者と同じ医療が受けられるように変わりつつある。







 後期高齢者医療制度に関しては、私も知らないびっくりするような内容でした。確かにこれでは反対する人が多いのも当然でしょう。予算を増せない現状ではこれ以上の医療費の拡大は日本の死活問題となってしまいますが、人間性を無視するような制度は許されるものではありません。少しでも正しい方向の修正していってほしいものです。









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