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自分と仕事の関係に行き詰まりを感じ、タイトルを見て心を動かされて購入した本です。
本書は個人、特に肉体労働者ではない知識労働者の生き方について書かれたものです。マネージメントの大家ですが、知識労働者の時代が来ることを予見しその生き方に思いをはせるというのは、ドラッカー氏の人との関わりが好きであるという人柄が出ているように思います。厳しい顔を映っている写真が多いですが、実はやさしい方なのかもしれません。
知識労働者の生きる指針が魅力ある筆致で書かれていて、あっと言う間に読めてしまう本でした。その中でも、中年男である私にはいくかのキーワードが心に染みました。
ひとつ目は、「中年の危機」という言葉です。
40代に入ってくると、会社生活は全盛期を迎え、20年もの間続けてきた仕事にはそれ以上学ぶものがない状態になります。仕事をしても心が躍らず、楽しくなくなるのです。確かに、私自身もそんな感じがあります。なんとなく先行きが見えてきて、わくわく感がないのです。そんな状態を中年の危機といいます。
ふたつ目は、「第2の人生」という言葉です。
文字通りの意味ですが、中年の危機を迎えた知識労働者が充実した人生を過ごすには、第2の人生が重要だというのです。仕事や会社を変える、本業のほかに副業を始める、本業のほかに非営利の社会貢献活動を始める、など様々な方法があります。ただし、いずれの場合にも1つだけ条件があり、本格的に踏み切るにはかなり前から助走しなければならない、と釘をさしています。私もFPを目指して資格取得の勉強を進めてますが、背中を押された気がしました。
また、人生は時間がもっとも不足する要素であり、自分の不得意なところを普通にするために時間をかけるなら、同じ時間で自分の得意なところを何倍も強くした方が良いということが書かれてあります。自分の長所短所を把握するには”フィードバック分析”が大事であり、これは毎年自分の長所短所とこれからなすべきことを書き留めて、毎年見直すというものです。私も是非実践してみようと思っています。自分のことは自分ではなかなか理解することができません。しかし、短い人生を有意義に過ごすためには、可能な限り自分のことを正しく知ることが重要です。性格、容貌など変えることができないものはたくさんあります。そういったパッケージとしての自分自身をどのような活用して行くかが大事である、と理解しました。この本ではありませんが、自己啓発本に共通して書かれているのは"自己肯定”ということです。自分自身がどのようなパッケージであるにせよ、まずそれを理解し肯定すること、そしてドラッカー氏の言うようにできることを最大に強化してゆくことが、人生の勝利者となるために大事なことです。
もちろん、中年向けの本ではありません(笑)。すべての知識労働者に感銘と生きる指針を与える一冊です。
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