トップページ > 人生設計の初歩 >4.可処分所得(実際に使えるお金)の計算方法
可処分所得とは、手取り金額のことであり、自分が実際に使えるお金のことです。キャッシュフロー表においては、計算を簡素化するために、収入として通常は可処分所得を使用します。可処分所得は、年収から社会保険料(基礎年金、厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険)、税金を除いたものであり、以下の式で表されます。社会保険料、税金の徴収は、各個人に選択権はなく、強制的に差し引かれるものですので、可処分所得とはみなされません。社会保険料と似た感じがするのが個人で加入する生命保険や個人年金ですが、これらは各個人に加入の選択権があるため、可処分所得の範囲内とみなされます。
可処分所得を計算するには、社会保険料および税金を見積もらなければなりません。各金額を見積もる方法は、次の通りです。
(1) 最近の納税額から見積もる場合
自営業者の方であれば確定申告の申請書、サラリーマンの方であれば源泉徴収票から、社会保険料および税金の金額を見積もることができます。確定申告の申請書、および源泉徴収票のサンプルを以下に示します。赤枠で囲まれた項目が社会保険料に相当する部分、青枠
で囲まれた部分が税金のうち、所得税(国税)に相当する部分です。税金には、所得税と地方税が含まれますが、地方税(住民税、固定資産税など)はこれらの資料からはわかりません。各地方自治体より住民税の決定通知書などが届いているはずですので、それらの資料から確認することになります。
(2) 資料無しで概算値を見積もる場合
資料無しの場合でも、一般的な数値を使って社会保険料や税金の概算値を見積もる事は可能です。
(2-1) 社会保険料の概算値
中小企業が多く加入している政府管掌健康保険を例にとると、1年間で個人が負担する社会保険料は、年収の13%
が目安となります。
(2-2) 所得税、住民税の概算値
所得税、および住民税の概算値は、次の式によって計算することができます。税金を計算する際には、必要経費を控除できます。年収から必要経費を控除した税額計算のもととなる所得金額を課税総所得金額といいます。サラリーマンであっても最低65万円の必要経費が認められており給与所得控除と呼ばれています。扶養家族がいる場合など、生活費、養育費等を控除することができ人的控除と呼ばれています。社会保険料、個人で加入した生命保険、個人年金なども必要経費として控除することができ物的控除と呼ばれています。私自身、ファイナンシャルプランナーの勉強をして初めてこれらの控除を知りましたが、金額が少なめである事はともあれ、きめ細かく考えられていることには驚きました。
※税率、控除額は下表による
課税総所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 |
15% |
0円 |
195万円超330万円以下 |
20% |
9.75万円 |
330万円超695万円以下 |
30% |
42.75万円 |
695万円超900万円以下 |
33% |
63.6万円 |
900万円超1800万円以下 |
43% |
153.6万円 |
1800万円超 |
50% |
279.6万円 |
給与所得控除は、以下の表から計算できます。
年収(A) | 給与所得控除額 |
---|---|
162.5万円以下 |
65万円 |
162.5万円超~180万円以下 |
(A)×40% |
180万円超~360万円以下 |
(A)×30%+18万円 |
360万円超~660万円以下 |
(A)×20%+54万円 |
660万円超~1000万円以下 |
(A)×10%+120万円 |
1000万円超 |
(A)×5%+170万円 |
人的控除は、扶養家族等の状況に基づき、以下の表から計算できます。
区分 | 控除額 | |
---|---|---|
基礎控除(本人) |
38万円 |
|
配偶者控除 |
控除対象配偶者(70歳未満) |
38万円 |
老人控除対象配偶者(70歳以上) |
48万円 |
|
配偶者特別控除 |
(最高額)38万円 |
|
扶養控除 |
扶養親族 |
38万円 |
特定扶養親族(16歳以上23歳未満) |
63万円 |
|
老人扶養親族(同居以外) |
48万円 |
|
老人扶養親族(同居) |
58万円 |
物的控除は、次式で計算することができます。